TEAM BEYOND CONFERENCE
パラアスリート雇用×企業成長戦略 〜ブランド強化と組織活性化の秘訣〜
企業3社の好事例、競技団体から見たパラアスリート雇用のメリット

2026年3月5日(木曜日)、都民ホール(都議会議事堂内)にて、TEAM BEYOND CONFERENCE「パラアスリート雇用×企業成長戦略」を開催しました。
 今年3月に開幕した「ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピック」、10月には「第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)」の開催を控え、パラアスリートへの関心がさらに高まっている中、パラアスリート雇用に取り組む3企業の好事例を紹介するとともに、競技団体の視点から見た企業のメリットを語っていただきました。
 また、カンファレンス終了後には、企業や都の担当者、参加者による交流会も開催されました。

アーカイブ映像(令和9年3月5日まで公開)

事例紹介①

登壇者:
APRESIA Systems株式会社 HR本部総務部担当部長
木村きむら 行紀 こうき 氏
HR本部総務部
成毛なるけ 美和 みわ 選手(パラ・パワーリフティング)
HR本部総務部
中島なかじま 梨栄 りえ 選手(デフゴルフ)
テーマ:
障がい者アスリート採用による企業への多面的な効果

最初の事例紹介は、スイッチングハブ「Apresia」シリーズを主力製品とするAPRESIA Systems株式会社です。木村氏から同社がアスリート採用を実施するまでの経緯と、その効果について説明しました。

同社では、企業と障がい者アスリートが双方にとって有益な関係となるよう、設備面や業務適性、職場の理解など企業側の課題をピックアップ。その過程の「競技専念型」「併用型」「競技支援型」の3つの形態があることを知り、自社にとって導入しやすい「競技専念型」を選択し、2019年3月にパラアスリートの成毛選手と中島選手を採用しました。

木村氏は、アスリート採用には、所属選手への応援を通じて社内に「一体感の醸成・モチベーションの向上」、「障がいの有無を超えた相互理解の促進やDE&Iの浸透」、さらに選手の活躍による「企業ブランドの向上」という多面的な効果があると説明。また、「製品の累計出荷100万台の突破には、両選手の活躍による貢献も少なからずある」と述べ、「企業の覚悟とサポートし続ける姿勢が必要」と話を締めくくりました。

成毛選手からは「アスリートとしての自覚が強くなりました。実はすごい会社なのに、まだ知名度が低いけれど、自分たちの力でもっと有名にしていけるよう頑張ります」と力強く語りました。

中島選手は「入社したことで、日々の生活や将来への不安が軽減されました。今は、支えられているという実感が大きな原動力となっています。これからも挑戦を続けて、結果を出せるよう頑張ります」と会社への感謝の言葉を述べました。

事例紹介②

登壇者:
株式会社ベリサーブ 広報部 パラアスリート課 課長
倉茂くらしげ 麻理子 まりこ 氏
広報部 パラアスリート課
岩渕いわぶち 幸洋 こうよう 選手(パラ卓球)
テーマ:
多様なアスリートの活動を支えるために
〜アスリートとの「共走」が生む、活動の浸透と組織の一体感醸成〜

続いて登壇したのは、株式会社ベリサーブの倉茂氏と、同社に所属するパラ卓球の岩渕選手です。2017年からパラアスリート雇用を開始し、現在12名の選手が所属しています。

倉茂氏は、自社のバリューである「共走」を掲げ、「制度・運用の整備」「情報発信の仕組み化」「応援・イベントの展開」に取り組んできました。倉茂氏は「共走とは、支援する側、される側という関係ではなく、相手と目的を共有し、ともに挑戦を続ける姿勢です。単なるスポンサー活動ではなく、制度を整え、日常的な接点を持ち、ともに前に進んで応援する。その姿勢を私たちは共走と呼んでいます」と説明。

2025年7月に岩渕氏が、競技+社内業務併用型として入社したことを機に、「共走」の形が進化。所属選手がイベントや社内プロジェクトに参画する機会の創出、企業としてパラスポーツへの関わり方が深化したことによって、社内外への影響力が拡大している現状を紹介しました。

また、岩渕氏は「広報部、そしてパラアスリート課の社員として競技以外のことに目を向ける時間を持つことが、競技にもプラスになっていると感じています。今後は、競技だけではなく、パラアスリートの価値を広げる活動にもチャレンジしていきたいと思います」と抱負を語りました。

最後に倉茂氏が「アスリートとの共走は、何か一つの施策を実施したり制度を設けるだけで成り立つものではありません。無理なく続けていけることを積み重ねていき、その結果として組織文化につながっていくのではないかと考えています」と締めくくりました。

事例紹介③

登壇者:
ケイアイスター不動産株式会社 業務サポート部/広報室 部長
堀込ほりこみ 勇介 ゆうすけ 氏
業務サポート部/ケイアイチャレンジドアスリートチーム チームディレクター
山本やまもと 典城 よしき 氏
業務サポート部/ケイアイチャレンジドアスリートチーム
岩渕いわぶち 亜依 あい 選手(デフサッカー・デフフットサル)
テーマ:
パラアスリートを『シンボル』から『原動力』へ。
組織に熱狂を生むブランディング戦略

3社目の登壇となったのは、ケイアイスター不動産株式会社の堀込氏、同社のパラアスリート選手が所属する「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」ディレクターの山本氏、東京2025デフリンピックの女子サッカーで銀メダルに輝いた岩渕選手の3名です。

同社は、まず競技に専念できる環境を重視した「競技専念型採用」からスタートし、所属アスリートを一つのチームとして活動していくことを目的に「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」を発足。2025年4月から約10ヶ月間で選手による講演会等は37件、メディア掲載数は216件にのぼり、広告価値換算で約1億3800万円に達したと紹介しました。

パラアスリートとして、小学校への出前授業や体験会などに出演している岩渕選手は「自分を取り巻く環境がワンランクアップした。子供たちが、耳の不自由な人とのコミュニケーションに関して興味を持ち、質問したり手話を覚えようとしたりする姿に触れられることを、いい機会だと感じています」と自身の体験を紹介。また、社内向けのアスリートによる健康相談についても触れ、社員との距離が縮まっていると語りました。

また、山本氏は「企業に所属するアスリートは競技で結果を出すことが一番の優先事項ですが、競技以外でどのような価値を自分たちに見出し、企業に寄与していくかをチームのメンバー全員で考えながら活動しています。また、選手たちの中に、会社への帰属意識と責任がとても強くなった」と語りました。

さらに同社では2026年4月から、選手の引退後を見据え、競技に集中しながらも広報活動に従事する「デュアルキャリア」をスタートすることを紹介して締めくくりました。

事例紹介④

登壇者:
一般社団法人 日本肢体不自由者卓球協会 ハイパフォーマンスアシスタントディレクター
羽生はぶ 綾子 あやこ 氏
テーマ:
パラスポーツ中央競技団体の視点において企業に求める
パラアスリート雇用の支援内容、支援によって得られる企業のメリット

最後に登壇したのは、パラ卓球を通じて、共生社会の実現に取り組む、日本肢体不自由者卓球協会でナショナルチームのハイパフォーマンスアシスタントディレクターを務める羽生氏。同協会および他競技団体の国際大会派遣選手へのアンケート結果を元に、強化現場から見たアスリート雇用の現状と、支援によって得られる企業のメリットを紹介しました。

アンケートには、パラ卓球・パラ射撃・パラテコンドー・パラサイクリング・パラローイングの5競技の選手43名が協力。そのうち46.5%(20名)がアスリート雇用にあり、非アスリート雇用の53.5%(23名)を下回っていることが分かりました。また、アスリート雇用にある選手のうち約30%が業務併用型であることも示されました。

アスリート雇用の選手に「所属企業に何を求めますか」と質問したところ、「競技時間や活動費用(海外遠征等)の確保、業務とのバランス」と回答した人が最も多く、「社会人としてのマナーや基礎を身に付けられるよう研修等を通常の社員と同様に受けること」が続きました。

これを受けて羽生氏は「様々な仕事や、そこから得られた気づきが選手の経験値となり、競技力の向上に寄与する」と述べ、競技団体としても、選手が企業と相談しながら、できる範囲で仕事にも取り組むことが重要だと語りました。

また、企業側のメリットとして、「社会課題への取組が信頼につながる」「多様性を重視する企業姿勢の発信」「社内広報」を挙げ、パラスポーツとパラアスリートへの理解促進を求めて話を終えました。

交流会

すべての事例紹介後、アイスブレイクとして挨拶の基本となる4つの手話を学ぶワークショップを実施。その後、会場を都政ギャラリーに移して参加者間の交流会が行われました。名刺交換や情報共有を行う人、会場に設けられた「TEAM BEYONDブース」や「TEAM BEYONDパラコネクト」ブースには相談する人の列ができるなど、活気に満ちた雰囲気の中でTEAM BEYOND CONFERENCEは閉幕しました。

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